ベアリング(軸受)とは、機械部品のひとつで、回転や往復運動する相手部品に接して荷重を受け、軸などを支持するものです。
「転がり軸受」は、パチンコ玉のような鋼球を中空の円柱と中空の円柱の間に入れて抵抗をなくす「玉軸受」や鋼でできた円柱を中空の円柱と中空の円柱の間に入れて抵抗をなくす「ころ軸受」があります。
「すべり軸受」は、ブッシュと呼ばれ面を滑らして抵抗をなくす軸受が一般的に使われています。
玉軸受(NSKのHPより引用)
ベアリング全体の世界シェアランキング
ベアリングの世界シェアランキング(2009年)
1位 SKF(スウェーデン) 21.7%
2位 Schaffler(ドイツ) 15.2%
3位 日本精工(日本) 12.7%
4位 NTN(日本) 11.4%
5位 TIMKEN(米国) 9.1%
メーカー別の世界のベアリングの事業推定売上規模(2009年度)
1位 SKF(スウェーデン) 5500億円
2位 Schaffler(ドイツ) 3800億円
3位 日本精工(日本) 3060億円
4位 NTN(日本) 2800億円
5位 TIMKEN(米国) 2300億円
世界市場では、大手による寡占化が進んでおり、上位3社で世界市場の約50%を占めますが、ベアリングの種類や大きさ、顧客業界によってもシェアは異なり、不二越(等速ジョイント用ベアリングなど)、ミネベア(外径22mm以下のベアリング)、北日本精機(内径1mm以下のベアリング)、などの会社も世界トップシェアを獲得している製品を製造しています。
ベアリング全体の国内シェアランキング
ベアリング全体の国内シェアランキング
1位 日本精工 35%
2位 NTN 27%前後
3位 JTEKT 27%前後
4位 不二越 6%
※2位と3位は時期により入れ替わっている。
国内市場は大手3社で寡占(90%)しているため、世界最大手のSKFでも1%以上のシェアはないです。上位3社が「三大メーカー」、上位4社が「主要メーカー」と呼ばれています。他にも、アンテックス(油圧ショベル用旋回ベアリング)、オイレス工業(無給油ベアリング)、TOK(樹脂ベアリング)などが国内トップシェアを得ています。
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特殊ベアリングのシェア
ミニベアリング(外径22mm以下)においてミネベアミツミは世界シェアトップ(60%)を誇っています。このサイズのベアリングは、情報通信機器や家電製品、自動車の制御モーターなど幅広い分野で多く使われて、同社では8500種類以上製造しています。またギネスも3つ持っています。
極小(内径1㎜以下)ベアリングにおいて北日本精機は、世界シェアトップ(70%)を誇っています。量産品の最小は、内径0.6㎜、外径2.5㎜、幅1㎜、使用ボール径0.5㎜です。また、対応回転数が14万rpmと非常に高いのも特徴です。
無給油ベアリング市場において、オイレス工業は、国内シェアトップ(50%)を誇っています。すべり軸受けのことで、面と面を滑らすベアリングで高荷重や油を嫌う場所で使用されます。製造には、非常に高い技術と精度が求められています。
樹脂ベアリング市場においてTOK(トックベアリング)は、国内シェアトップ(80%)を誇っています。樹脂ベアリングは、軽い上、薬品や水などによる腐食に強く、金属のベアリングが使えない場所で幅広く使われています。
特殊用途用ベアリングのシェア
自動車用ハブベアリングにおいて、NTNは、世界シェアトップ(25%)を誇っています。ハブベアリングは、 タイヤの回転をスムーズにさせるためのベアリングで、ドライブシャフト(トランスミッションからの回転運動をタイヤに伝える部品)などの回転する軸と、車体(ブレーキディスクを取り付けているナックルという部品など)の間に取り付けられています。
等速ジョイント用ベアリングにおいて、不二越は、世界シェアトップ(50%)を誇っています。このベアリングは、ドライブシャフト内に入っていて、入力軸角と出力軸角が違っても、スムーズに回転トルクを伝えるための部品である。
軸方向にも動くことから、ボール型に比べトルク損出は低く0.2%程度となっています。
自動車エンジン用すべり軸受において、大同メタル工業は、世界シェアトップ(30%)を誇っています。ピストンの力を伝達するコンロッドとそれを回転運動に変えるクランクシャフトの締結部の間に使用され、コンロッドとクランクシャフトの摩耗を抑え、滑らかに回転させるために使われています。※エンジンのヘッドなど他部位でも使用される。
カーエアコン用ベアリングにおいて、不二越は、世界シェアトップ(50%)を誇っています。触媒ガスのコンプレッサーの軸を支えています。高速回転、10年100000km以上にも耐えられるシールやの耐久性や内部構造をもったものを製造しています。
油圧ショベル用旋回ベアリングにおいてアンテックスは、国内シェアトップ(70%)、世界シェア40%(順位不明)を誇っています。小さいものから3.5mまで製作可能で、建設機械最大手のキャタピラーをはじめ、コマツなどの大手にも納入しています。
大型船舶用エンジンのすべり軸受において、大同メタル工業は、世界シェアトップ(45%)を誇っています。貨物船やタンカーなどに使用されている大型の低速(2ストローク)ディーゼル用エンジンのコンロッドとクランクシャフトの間に使用されています。用途は自動車用と同じですが、大型船の場合、1mを超える「メタル」と呼ばれる部品もあります。
ベアリング部品のシェア
ベアリングローラー(転がる円柱状の部品)において東振精機は、国内シェアトップ(70%)を誇っています。自社で生産設備まで製造し(外販もしている)、非常に精度の高いベアリングローラー(回転体)を製造しています。