大同メタル工業株式会社(以下大同メタル工業)は、自動車、船舶、建設機械、一般産業向けなど、多種多様な産業分野で使用される「軸受」を製造・販売している「総合すべり軸受メーカー」である。
すべりベアリング(軸受)とは、面と面を滑らし回転運動を滑らかにする部品で、ボールベアリングなどの転がり軸受と比べ、耐荷重・耐衝撃性能・本体の肉厚については優れるが、価格・摩擦・本体の幅・入手のしやすさ(ボールベアリングは規格化されていて市販されている)などがデメリットである。例として身近なものを上げるとすれば、小さいセロテープの紙の芯と本体が、セロテープを引っ張ることによって擦れながら回る現象である。(正規の軸受になれば抵抗は格段に減少する)
同社の製品は、トラック、建設機械、農業機械、二輪用の軸受や、自動車部品のターボチャージャー、ショックアブソーバーに使用される軸受も高いシェア率を誇っている。
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大型船舶用エンジンの滑り軸受
大型船舶用エンジンの滑り軸受において世界シェアトップ(45%)を誇る。
大型船舶用エンジンは、タンカー、貨物船、発電設備などに使われ、低速(2ストローク)ディーゼルエンジンが主流である。このエンジンは非常に化け物で、一般のガソリンエンジンではクランクシャフトの軸の直径が数cmしかないが、直径1m超えるクランクシャフトもある。
大きくなれば精度が少し下がってもいい他の機械部品とは違って、メタルの場合は大きくても非常に高い精度が求められる。一部精度が悪くて油膜を保てなかった場合、いくらメタル側が柔らかくてもクランクシャフトの摩耗は防げないためである。エンジン自体も高価な上、メンテナンスも非常に高い。また営業できない分の損失もある。したがって非常に高い技術がなければ採用されない非常にシビアな部品なのである。
自動車用エンジンの滑り軸受「メタルなど」
自動車用エンジンのすべり軸受において世界シェアトップ(30%)を誇る。
「メタル」と呼ばれるすべり軸受は、ピストンに加わった力をクランクシャフトに伝える「コンロッド」とそのエネルギーを回転運動に変える「クランクシャフト」との締結する際に使われる。外側からコンロッド→メタル→クランクシャフトの順になっており、メタルとクランクシャフトが滑ることにより、滑らかに回転する。また、メタルは、コンロッド・クランクシャフトより軟らかく作られており、コンロッド・クランクシャフトが摩耗しない(メタルを交換すればコンロッドやクランクシャフトはそのままで再度何万km走れる)ようになっている。
メタルは、内側に油膜を貼るように設計されていて、高回転で何万km走っても耐久するようになっている。しかし高い技術があるからなせる業で、鋳造で作られたクランクシャフトやコンロッドの仕上がり精度によってメタルの厚みを選定するほどである。これにより10万km以上無交換で走行できるようになっている。
またF1の場合1分間に最大で19000回転クランクシャフトが回っており、何tもの荷重がかかっていて数基のエンジンで1シーズン戦っていることから、その技術のすごさがわかるだろう。
会社名 | 大同メタル工業株式会社 |
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ホームページ | https://www.daidometal.com/jp/ |
本社 | 愛知県名古屋市中区栄2-3-1 名古屋広小路ビルヂング13階 |
従業員数 | 約1300名(単独) 約6300名(連結) |
出典 | https://www.daidometal.com/jp/company/corporate-profile/ |
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